大好評の本連載。今回でいよいよ最終回です。これまで「がん保険」の謎や、それを踏まえてしいておススメのがん保険を紹介してきましたが、今回は、「がん保険に入らない選択」について考えます。起こりうるリスクに対し、保険以外でカバーすることも可能なのではないでしょうか。『がん保険を疑え!』の著者が、自説を主張します。

基本的にがんは、老後の問題としてみることができる

 今回は、「がん保険に入らないという選択」について考えます。結論から言うと、100万円から200万円くらい自由になるお金があれば、入らないことにしてもいいと思います。理由は4つです。

1 がんは、基本的に老後の問題と見ることもできる
2 「がん家系」はない
3 50万円程度の医療費負担が最多(?)
4 現行商品が売れる間は、わかりやすく安い商品が増えない

 まず、がんは基本的に「老後の問題」と見ることができると思います。保険会社が「がん保険」を案内する際、用いている「2人に1人ががんになる時代」というコピーの根拠になっているのは、国立がんセンターが発表している罹患率データです。

 そのデータを確認すると、たしかに男性では2人に1人、女性では5人に2人ががんに罹るようです。とはいえ、あくまで「一生涯のうちにがんに罹る確率」です。たとえば女性の場合、「30代からリスクが急増」すると言われるものの、30歳の女性が10年後に「がん」に罹る確率は1%です。男女とも50歳までは5%以下、60歳まででも10%以下です。

 数字の受けとめ方は人それぞれだとしても、一般に、がんに罹るまでは、それなりの資金準備期間があると考えていいはずです。少なくとも「がん保険」以外の対応法は見つからないとは言えないでしょう。保険会社が光を当てたがらない一面だと思います。