農家ばかりに
目を向けてきた国の罪

 日本政府は「食料・農業・農村基本計画」で、国内大豆の生産努力目標を32万トンと設定している。コメの減反政策や食料自給率が低いなどの理由から、大豆の収穫量を増やそうとしているのだ。

 日本で食品に使用される大豆は、国内外のもの併せると年間約95万トンにのぼり、そのうち約45万トンが豆腐向けである。この数字から見ても、国産大豆の生産目標値32万トンのほとんども、豆腐の原料として使われると推察できる。

 にもかかわらず、国は大豆農家にのみ交付金を出し、実需者である豆腐業者には一切支援をしてこなかった。

 もちろん、今さら犯人探しをしたころで、小規模豆腐店の淘汰が止むわけでもない。そのことを誰よりも知った上で、それでも彼らは豆腐にこだわり続ける。

「この業界は“俺の豆腐作り”しか知らない人たちばかりですが、店の数だけ正解があります。日本の伝統文化である豆腐を単なるタンパク質のかたまりにだけはしたくはありません」(青山氏)

 せっかくなので、最後に“とっておきの美味しい豆腐の食べ方”についても訊ねてみると、「冷蔵庫から豆腐を出して15~20分ぐらい置きます。ちょっと温度を上げて水を切ると、豆腐の香りと風味が増すので、何もかけずにそのまま食べても美味しいと思いますよ」。

 何気ない “まちのお豆腐屋さん”の知識や巧技が失われないことを願うばかりだ。