アーカイブつくりに猛反対
放送業界の言い分とは

 だったら、さっさとアーカイブをつくれよと思うかもしれないが、そこに大きなハードルが控えている。実は「放送アーカイブ」という構想はずいぶん前から唱えられてきたが、そのたびに獣医学部新設に反対する日本獣医師会よろしく、放送業界がつぶしてきた。

 なぜか。著作権の問題で手続きがいろいろ大変だとか、過去のニュース映像に映っている人の人権やプライバシーが、とか、もっともらしい言い訳をしているが、なによりも大きいのは、「共謀罪」や特定秘密保護法でも持ち出してきた「伝家の宝刀」ともいうべき例のアレだ。

『放送局側がもっとも警戒しているのは、「番組の事後検閲につながるのではないか」ということだ。放送事業は総務省からの免許事業。民放連の青木隆典事務局長は「何人(なんぴと)からも干渉を受けないというところが守れないと、言論・表現の自由はあり得ない」と話す』(毎日新聞2015年7月20日)

 今、放送アーカイブ構想が持ち上がっている国立国会図書館という施設は、そもそも国会議員の「調査」を目的としている。そんなところに、これまでの「報道」のアーカイブを置いたら、「あの時も偏っている、そういえばあの時もテキトーなことを報じやがって、といろいろ文句を言われて、報道が萎縮をするんじゃないの」と、テレビ報道に携わる人々が不安になっているというのだ。

 これまで過去にさかのぼって検証されるということのない特権階級的な立場だったので、恐ろしいという気持ちはわかるが、国会図書館には、全国の新聞から筆者のような末端のフリーライターの記事まですべて保存されているので、他のメディアと同じ扱いになるというだけだ。

 しかも、他国の例からも、アーカイブによって言論・表現の自由が脅かされている事実はない。

電凸されると
テレビ局はますます頑なに

 たとえば、フランスでは放送アーカイブが1992年に法制化され、国立視聴覚研究所(INA)に国内の120のテレビ局、20のラジオ局の放送が記録・保存され、誰でも視聴できる。もちろん、そこには政治家も含まれる。