大手コンビニエンスストアチェーンのミニストップの海外店舗数が今年度にも国内店舗数を上回る見通しだ。
すでに国内店舗数は2039店、海外は1903店と拮抗している。海外では韓国(1561店)が大半だが、フィリピン、中国に続き、今秋にはベトナムに出店する。
国内の店舗数で5位に甘んじている同社だが、東南アジア諸国への積極投資で海外事業を強化し、2015年度には連結営業利益の2割強を海外で稼ぎ出す計画だ。
海外を狙うのはミニストップに限らない。
海外出店が最も進んでいるのがファミリーマートである。
韓国、台湾、タイ、中国で展開し、7月末時点で、国内8468店に対し、海外が1万0106店に達している。「国内は質、海外は数を追求する」(ファミリーマート)として、海外店舗数を15年度に15500、20年度に約30000店にまで拡大する予定だ。
海外店舗は中国の317店とインドネシアの1店のみと、出遅れていたローソンも、急速に舵を切り始めた。中国では早ければ5年以内に1万店を目指す計画だ。
なお、セブン-イレブンは米子会社が各国・地域にライセンス供与しているケースが大半のため、直接出資を行う他社と同列には比較できないが、国内外で約4万3000店のうち、海外が約3万店を占めている。
大手コンビニの国内事業の業績は絶好調だ。各社とも売上高は前年比一桁後半の大増益が続いている。例えばファミリーマートでは7月の既存店売上高が前年比で8.0%増だ。
にもかかわらず、海外事業を一層強化している理由は何か。
その一つは、先述の大増収が今年限りの特殊要因のためである。例えば、ファミリーマートで言えば、前年同月比8%の増収分の内、7%は昨年10月のタバコ値上げ前の駆け込みによる押し上げ効果だ。したがって今年10月以降はタバコ効果が消え失せる。
タバコ効果を差し引いても増収であることは評価すべきだが、すでに国内には約4万6000店のコンビニがひしめきあい、店舗の飽和感は高い。さらに国内事業の強化のためには、精緻なマーケティングやサービス拡充のために数百億円規模のIT投資が必要だ。こうした国内事業の頭打ち懸念により、事業機会を海外に見出さざるを得ないのだ。
海外進出とIT投資は、いずれも人・物・カネを要する体力勝負である。こうした投資余力があるか否か。海外進出競争を機に、コンビニ業界では生き残りをかけた再編の動きが加速する可能性は高い。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)