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アマゾンがスタートアップの販売手段などを支援
大きな可能性を秘めた「ローンチパッド」とは

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第437回】 2017年8月25日
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選定されれば、さまざまな支援を受けられる

ベベル(Bevel)は昔ながらのカミソリと敏感肌用の化粧品を販売

 アマゾン・ローンチパッドにはもう一種のプレーヤーが関わっている。「パートナー」と呼ばれているベンチャー・キャピタル、アクセラレーター、クラウド・ファンディングなどの存在だ。ローンチパッドで販売されるのは、全てこうしたパートナーの資金援助を得たスタートアップが開発した製品で、いわば彼らのお墨付きだ。

 アメリカでのパートナーは、いずれも有名なベンチャー・キャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ、アクセラレーターのYコンビネーター、テックスターツ、クラウド・ファンディングのインディーゴーゴー、キックスターターなど。こうしたパートナーに支援を受けたスタートアップは、ローンチパッドで新製品を消費者に広くアピールできるのだ。

 ただし、ローチパッドのサイトではいつまでも無条件で製品を掲載できるというわけではなさそうだ。プログラムの条件として、製品レビューが3つ星以上であること、10以上のレビューがあること、アマゾンのマーケティング・サービス(AMS)を一度は利用していることなど6項目が挙げられている。

 AMSは、製品をプロモートするための広告表示のプラットフォームで、アマゾンとしてはスタートアップを支援する一方で、広告表示による収入も得るというちゃっかりさもうかがえる。

 アマゾン・ローンチパッドは、去る8月16日(米時間)にサンフランシスコでプレス・イベントを開催した。スタートアップ、パートナーら関係者が登壇して、スタートアップ・ビジネスの挑戦やローンチパッドでの経験を語った。

 アマゾン・ローンチパッドのヘッド・オブ・ビジネスのアシシュ・トリパティ氏によると、ローンチパッド担当者はグローバルなチームに属しており、ほぼ毎日のように世界各地から情報を交換しているという。

 こうした情報交換によって、アメリカで人気になった製品が世界の各地の市場でも販売されることもあるが、興味深いのはその逆もあるということだ。同氏よると、ヘルス・トラッカーとコーチング・アプリを提供するインドのスタートアップ企業であるゴーキー(GOQii)がその好例で、インドで評判を呼んだ後、アメリカ・アマゾンのローンチパッドでも製品を販売するようになった。

 アマゾン・ローンチパッドは、スタートアップが世界へ進出するための登竜門にもなり得るということで、ひょっとすると日本のスタートアップが、この仕組みを利用し、いながらにして世界で人気製品を作り上げるということも不可能ではないのだ。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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シュンペーターの創造的破壊を地で行く世界の革新企業の最新動向と未来戦略を、シリコンバレー在住のジャーナリストがつぶさに分析します。

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