ネットフリックスが最大のライバル

 ディズニーが、独自のストリーミングビデオサービスに乗り出すという。すでにネットフリックスやアマゾンがしのぎを削っている市場で、果たして勝ち目はあるのだろうか。

 ディズニーの発表は、2017年第3四半期の同社業績が芳しくないことが明らかになった報告の場で行われた。プログラミング・コストの高さ、傘下のスポーツケーブル局ESPNの契約者の減少、映画のボックスオフィスでの売り上げ減などが響き、利益は9%下がっている。

 同社は、「コンテンツのクリエーターと消費者を直接結びつけるところに現代のメディアビジネスの要がある」とし、ストリーミングビデオサービスを「今後の成長を担うもの」と位置づけて、この進出の裏付けをアピールしている。

 今日、ブロードバンドの70%強はビデオストリーミングで占められており、インターネットが映画、テレビ番組、ビデオを鑑賞するプラットフォームと化していることは確実だ。テレビ離れは若い世代ほど進んでおり、将来を見据えると視聴者との直接の関係を作るのにインターネットでのストリーミングは不可避と言える。

 そして、そのディズニーが消費者と「直接結びつく」ためにまず行うのは、ネットフリックスへのコンテンツ提供を取りやめることだ。他社にコンテンツを提供するのでは、消費者とは間接的にしかつながらない。

 周知の通り、アメリカでのネットフリックスはストリーミングビデオ市場で王者の地位を獲得している。調査会社のコムスコアによると、Wi-Fi通信機能を備えた家庭の53%が少なくとも1つのストリーミングビデオサービスに加入しており、そのうち75%はネットフリックスのユーザーとなっている。それを追うのはユーチューブ(53%)、アマゾン(33%)、フールー(17%)となっており、ネットフリックスの優位は明らかだ。

 しかも、ネットフリックスは今やディズニーの競合とも言える。というのも、ネットフリックスはすでに独自のテレビ番組や映画制作を行うなど、まるでディズニー化しているからだ。一方、ディズニーはその競合から自社作品を引き上げ、独自のビデオストリーミングのチャネルで視聴者を囲い込むという、自社のネットフリックス化に突き進む目論見だ。