年間2589兆円!
中国のモバイル決済

 中国のQRコード決済は、その利用率の高さが物語るように、確かに便利なサービスだ。上海でもすでに在住の日本人が利用しているが、皆、異口同音に「便利だ」と歓迎している。

 中国決済清算協会の「中国決済清算産業運営報告(2017年)」によれば、モバイル決済は爆発的に伸長し、2016年、中国の商業銀行が処理したモバイル決済の金額は、前年比45.6%の増加の157兆5500億元(約2589兆円)に達した。

 その一方で、「決済上のトラブルは枚挙にいとまがない」(上海市の居住者)と言われるように、安全性については問題山積だ。中国決済清算協会のアンケート調査によれば、利用者の約8割がモバイル決済を「簡単で便利」と評価する一方で、「安全性」を最大の懸念とする傾向が浮き彫りになった。

 中国では第三者が本人になりすまして高額消費をしたり、あるいは第三者が個人情報を盗んだりするなどの度重なる不正利用が問題視されている。最近では店頭のバーコードの上に第三者が別のバーコードを貼り付け、売り上げをかすめ取った事件が衆目を集めた。

 不正利用の頻発はとりもなおさず、普及の速さに問題がある。瞬時にしての大ブレークで、法律や業界ルールがすべて後手になってしまったのだ。中国でモバイル決済サービスが本格稼働したのはわずか4年前の2013年からであり、中国政府が管理監督に乗り出したのもごく最近のことだ。逆に言えば、まだまだ“未熟なサービス”であるとも言えるのである(詳細は拙著「インバウンドの罠」に詳しい)。

 ちなみに、日銀は「モバイル決済の現状と課題」(日本銀行決済機構局、2017年6月)と題するレポートの中で、「モバイル決済は先進国よりもむしろ中国やケニアなど、従来はリテール向け銀行サービスが十分に発達していなかった国々で急速に広がるケースが目立つ」と指摘している。