奨学金のリスクは取れないが
風俗嬢のリスクは許容の範囲

「今、ソープ嬢の面接に受かるのってすごく難しいんですよ。他の職業と違って容姿と接客態度も見られます。もし雇ってくれなかったら、とても税理士試験を目指すためのお金なんて貯まらなかったと思います。楽しめて、勉強もできて、お金も稼げて……。風俗という職業がなければ、とてもわたしの未来は開かれませんでした」

 こう語るアミさんに、「もし風俗店が雇ってくれなければ、税理士試験は諦めていたか?」と聞いてみた。すると、意外な答えが返ってきた。

「わたし、ぶっちゃけ、容姿に自信ありました。だから、どこかの風俗店が採用してくれるだろうな…って。でも、もし容姿に自信がなければ、奨学金は取りたくないから、大学進学や税理士受験そのものを諦めていたと思います。おカネないのに進学しても、勉強もできなければ、学生生活も楽しめない。それって、辛くないですか?」

 とにかくリスクを避け、どう転んでも安泰な将来を築き上げることに腐心しているかに見えるアミさん。

「どんなに言葉を取り繕っても奨学金って、所詮、“借金”ですよね?返すアテのない借金は怖くてできません」

 こう話す彼女にとって、奨学金を借りて勉強して税理士資格を取り、卒業後に返済していくというような人生は、あり得ない生き方のようだ。

「税理士になってから、風俗嬢だったことがバレる可能性について考えないのか?」と問うてみると、「犯罪ではないのだし、そんな偏見の目で見る人がナンセンスなだけじゃないですか?」と、クールな返事が返ってきた。病気に感染するリスクも「私のいる高級店では、万全な対策が取られていますから」と話す。そして、こうも言う。「高級店に来られるお客様なので、その辺りもキチンとしておられる方が多いですから」。

 風俗嬢のバイトは彼女にとって、特段のリスクには感じられないようだ。

 大学生の奨学金の受給状況は、大学学部に限ると、2014年には12年の調査結果から1.2ポイント減少、51.3%となっている(日本学生支援機構調べ)。奨学金を受給してまで大学進学しようという考え方は、今どきでは、「昭和の古い発想」として一笑に付されるものなのかもしれない。

 受け答えからも、頭の良さが十分に伝わってくるアミさん。言っている内容に大きな破綻はない。話を聞けば聞くほど、思わず、「うんうん」と納得してしまう。だが、本当にこれでいいのか?頭の古い記者は、今も釈然としない気持ちを拭えないままだ。