“アンチ”でいなければ、ウチの企業規模では生き残っていけない、と謙遜するが、これはただ「逆張り」戦略をとっているわけではない。相当の「野心」ものぞかせる。

「世の中が大きく逆に振れ動いて、その時々の『当たり前』が変わるのであれば、その最先端にいたい。世の中、二番煎じはなくて、最初にやった人が圧倒的に評価される。メーカーとして新しい当たり前を提案し、お客さんに評価してもらう。そして次の時代の当たり前を創り出したい」

 久野社長は、例として白鶴酒造のCMを挙げる。TOKIOの城島リーダーが出演するもので、CMの中で、ワイングラスで日本酒を楽しむ人が出てくる。

「10年前にワイングラスで日本酒を楽しむ、なんて言ったら、『は?』という顔をされました。でも今は大手メーカーが、ジャニーズのタレントを起用したCMを打っている。こうした新しい“当たり前”をつくる動きがもっと増えれば、日本酒業界は大きく変わるはず」

 目指すのは「日本酒を新しいステージに押し上げる」ことだ。『醸し人九平次』を世に出して20年が経った今年、フランスで栽培した米と麹を使った『醸し人九平次 CAMARGUE(カマルグ)に生まれて、』を10月に発売する予定だ。次の20年に向けて、新しい日本酒を模索し続けている。