かつて中国が米国債の保有1位から降りたのは、オバマ元大統領が貿易拡大策を進めるため、ドル安政策を押し進めたときである。そのとき、中国は米国債を大量に売却した(その時、米国の格付け機関がギリシャを3段階格下げし、ギリシャショックが発生した。欧州債が売却され、その資金が米国債に流入し、月別では米国債は史上最大の買い越し額となった)。

投資・貿易でも関係が深化、相互依存度が高まる

 米国と中国との経済的関係をさらに見ていくと、いままでは米国からの直接投資が圧倒的に多かったが、最近は中国から米国への直接投資が上回っており、 (ひところの日本の様に)M&Aを主とした進出が進んでいる。これも米国経済にとってはプラスだ。

 最近の技術革新とトランプの規制緩和によって、米国ではシェールオイル生産が拡大し、世界一の原油生産国となった。法律も改正され、輸出も始まり拡大中である。現在、その米国産原油の輸入1位が中国なのである。米国の原油積み出し港はメキシコ湾岸に多い。ニカラグアでは中国資本で第2パナマ運河を工事中で、これはメキシコ湾から中国への輸出を拡大するためと考えられる。

 筆者は以前、出張ベースの短い時間ではあるが、北京の清華大学で非常勤講師として教鞭をとったことがある。そうした経験で分かったのだが、中国で一番の大学である清華大学は、実はロックフェラーの出資によって設立された。当然、親米的な雰囲気がある。歴代、中国の首脳陣は清華大学出身者が多い。心情的には近いものがあるのではないか。

 このように、米中は政治的には対立しつつも、経済的には結び付きが強化されている。逆の見方をすれば9月には経済危機が連動する可能性もあるということで、より注意が必要だ。

(経済学博士・エコノミスト 宿輪純一)