さらに、休憩時間に冗談を言って笑っている同僚の姿に違和感を抱いたり、忘年会を予定通り開いたことに不謹慎な感じを受けて「こんな人たちとは、一緒に仕事ができない」と思ったりする人が出てきて、職場全体の雰囲気に影響をもたらすこともある。

 こんなとき、筑波大学医学医療系(災害・地域精神医学)の高橋祥友(よしとも)教授(精神科医)は、「大原則として、何もなかったように振る舞うのはよくない」と強調する。

「職場等の組織内で自殺した人がいたら、仲間内で一度、話し合う機会を持ちましょう。悲嘆のプロセスとして、適切な方法で死と向き合うことで、その後の影響をより最小化することができるからです」と高橋教授は勧める。

 このような自殺の事後、遺された人の対応は「ポストベンション(事後対応)」と呼ばれている。日本では、あまり聞き慣れない言葉だが、海外で「ポストベンションは、将来に向けた(自殺の)プリベンション(予防)」とも言われ、企業でも取り組まれている。

職場ですべき4つの対応
影響を受けやすい人を特定する

 職場で自殺が起こった場合のポストベンションとして、まず、対応すべきことは、次の4点である。

 1.組織内では、情報は隠さず伝える

 事実を隠そうとすると、かえって、うわさが飛び交う。情報は中立的な立場で、事実のみ伝え、わからないことは「情報収集中」とする。組織内で情報を伝えようとしている姿勢を示すことが重要である。ただし、自殺の方法や当時の状況を詳しく伝えることは動揺を助長するため控えたほうがよい。