伸びる会社はお客さまに「満足」よりも「感動」を与える

一回のお客様を一生のお客様にする

 新規のお客さまを獲得することは、いつの時代でも重要なマーケティングのテーマですが、市場の縮小が続く今の時代は、一回のお客さまを一生のお客さまにする「リレーションシップマーケティング」が、より重要になります。良い企業には良いお客さまが長く続くもの。お客さまをみれば、企業のレベルも見えてきます。

小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 リレーションシップマーケティングでは、お客さまを次の6段階に分けています。最初は、商品やサービスに興味を持っているけれど、まだ購入したことがない、将来のお客さまになる可能性のある「潜在客」。次に、商品やサービスを購入した「顧客」。さらには、継続して商品やサービスを購入してくれる「得意客」。そして、特定の商品を、特定の企業からのみ購入する「支持者」。

 例えば、「百貨店は小田急百貨店」、「化粧品はポーラ化粧品」というように、ストアロイヤリティ、ブランドロイヤリティが100%の大変有難いお客さまです。

 さらに商品やサービスを気に入ると、他の潜在客に商品を勧める「代弁者」になります。口コミで良い評判を広げてくれるお客さまです。使ったことのある人に「この商品はいいよ」と勧められると、買ってみようと思うもの。あまたの広告よりも、口コミの方が人を動かします。とくに今はネットの時代ですから、SNS等でのクチコミがとてもとても重要になるわけです。

 そして最上位のお客さまは、他のお客さまを紹介してくださる、わざわざ店まで連れてきてくださる、あるいは、イベントがあれば手弁当で協力してくださる、さらには素晴らしい商品やサービスを多くのお客さまに提供したいと考えて代理店になってくださる「パートナー」になります。

 潜在客を顧客にする新規顧客の獲得もとても大事ですが、リレーションシップマーケティングでは、顧客→得意客→支持者→代弁者→パートナーというように、お客さまとの関係を「深化」させて行くことも、それにも増して大切なのです。