──国税庁長官、コロンビア大使を歴任し、6月から横浜銀行の頭取に就任したが、外から見て気づいたことはあったか。
顧客の満足度を高めるというのが、横浜銀行の伝統的な考え方としてある。とはいえ行員にはノルマがあって、それを達成するために一生懸命働いている。
それは当然のことなのだが、私から見ると、本当に顧客のためになっているか、そうではなく銀行のためになっていないかと思うこともある。
──銀行経営の経験がないことを不安視する声も聞かれる。
確かに銀行でずっと働いてきた人と、私とは違うと思うところはある。
たとえば、銀行員は顧客から預かった預金を貸すことが、とにかく重要だとDNAにたたき込まれている。しかし、私の目から見ると、銀行というのは貸し付けだけでなく、もっといろんな機能があるのではないかと思う。
2000年前後から資金の流れが大きく変わってきていて、それまで資金不足だった企業部門が資金余剰になってきている。貸し付けが順調に伸びる時代ではない。