終戦記念日の翌日に放送された
石破茂自民党政調会長のインタビュー
毎月の締め切りが近くなった20日前後、編集部の笠井一暁から「今月はこんなテーマはどうでしょうか」とのメールが来る。採用する場合もあるし無視する場合もある。いつかは書こうと思いながら、そのまま塩漬けになってしまったテーマもある。今月のメールはこんな内容だった。
「すでにご存知と思いますが、石破さんは、1週間ほど前の報道ステーションで、『日本は1年以内に核兵器を作ることができるとの抑止力を誇示するためにも原発は必要』といった主旨の発言をしています。」
この放送を僕は見ていなかったので、「1年以内に核兵器を作ることができるとの抑止力を誇示するためにも原発は必要」というロジックがまったく理解できなかった。笠井のメールにはYouTubeのURLが記載されていた。だから終戦記念日の翌日である8月16日に放送された石破茂自民党政調会長のインタビューを見ることができた。『原発 私はこう思う』と題されたシリーズ・インタビューだ。時間は3分半。そのなかで原発と(軍事)抑止力に触れた箇所を、以下に引用する。
「原発のウェートを減らしていきながら、再生可能エネルギーのウェートを高めていくという方向性に異存はありません。ですけども、原発をなくすべきということを目標とするやり方には賛成してはおりません。原子力発電というのがそもそも、原子力潜水艦から始まったものですのでね。日本以外のすべての国は、原子力政策というのは核政策とセットなわけですね。ですけども、日本は核を持つべきだと私は思っておりません。しかし同時に日本は、作ろうと思えばいつでも作れる。1年以内に作れると。それはひとつの抑止力ではあるのでしょう。それを本当に放棄していいですかということは、それこそもっと突き詰めた議論が必要だと思うし、私は放棄すべきだとは思わない。なぜならば、日本の周りはロシアであり、中国であり、北朝鮮であり、そしてアメリカ合衆国であり、同盟国であるか否かを捨象して言えば、核保有国が日本の周りを取り囲んでおり、そして弾道ミサイルの技術をすべての国が持っていることは、決して忘れるべきではありません」
見終えて唖然とした。全部を聞いても印象は変わらない。あまりに杜撰でお粗末なロジックだ。