スーパー新戦争 5重苦で大淘汰秒読み#5Photo:PIXTA

スーパーをはじめとした小売企業は、インフレで仕入れ価格や人件費などのあらゆるコストの上昇と、地方で急速に進む人口減少に直面している。そこで各社は、人口が密集する都市部、とりわけ最も肥沃な市場である首都圏へ出店しようとしている。では、具体的にどこの小売業が覇権を握るのか。特集『スーパー新戦争』の#5では、主要13社のポジションをまとめたカオスマップを作成した。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

インフレが後押しする
スーパー首都圏戦争

「建築コストは、ここ数年で倍に跳ね上がった。新しく店を出すのが本当に難しくなった」

 大手スーパーマーケットの首脳は、苦笑いを浮かべながらそう話す。背景にあるのは、インフレによるあらゆるコストの上昇だ。地価や建築費、金利の上昇で初期投資額が膨張し、さらに店舗当たりの収益性も仕入れ価格や人件費の上昇で急速に悪化。投資回収がままならなくなっているのだ。

 新規出店のコストを押し上げる要因には、競争の激化もある。東京都内はスーパーだけではなく、外食企業も含めてあらゆる業態が、少しでも良い立地を確保しようと躍起になっている。まとまった土地や居抜き物件は奪い合いだ。

 それなら、地価の上昇も出店競争も都内ほど激しくない郊外を狙えばいいだろう。だが、郊外は高齢化と人口減少が急速に進んでいる。こうしてスーパー各社は都内への出店を目指すことになる。どんなに競争が激しかろうが、東京都内への出店が成長のために取れる最善の策となっている。

 岐阜県に本社を構え、東海と関西地方に重点的に出店してきた大手スーパー、バローが神奈川県に出店を開始したり、ディスカウントストアのドン・キホーテなどを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が、食品強化型の新業態「驚楽の殿堂 ロビン・フッド」を2027年から首都圏で重点的に出店したりするのも、そんな事情が影響している。

『【独自】大手食品スーパー「バロー」関東2号店の立地が判明!岐阜の雄が見据える「重点エリア」とは?イトーヨーカ堂、ヤオコー、ライフ、オーケー…首都圏勢に影響必至』参照)
『ドンキの生鮮強化型業態「ロビン・フッド」参戦!ドンキならではの“仕掛け”とは?都市型スーパーの勢力図は27年に一変、ヨーカドー・西友・生鮮コンビニの脅威に』参照)

 では、超激戦区となる首都圏市場で、どのスーパーが覇権を奪うのか。主要13社の売上高や主力業態の標準的な売り場面積、利益率を使って、カオスマップ首都圏版を作成した。状況を整理すると、長年、首都圏を地盤としてきた大手スーパーが、必ずしも勝つとは限らない現状が見えてきた。