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IT企業はぜひ活用したい優遇措置
「研究開発税制」ってどんなもの?

会計ソフトで整理すれば準備OK

宮口貴志 [KaikeiZine編集長]
【第2回】 2011年10月5日
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中小企業にはなぜ
活用されないのか

 これらの優遇税制は、大企業では積極活用されているものの、中小企業が活用しているケースはまだまだ少ないのが現状です。なぜでしょうか。中小企業に対する審査が厳しいというわけではありません。むしろ、国はあらゆる企業に「ぜひ活用してください」と言っています。

 考えられるのは、中小企業の組織体制の性質ではないでしょうか。大企業の場合、研究開発する部署がたいてい決まっていて、どこの部門で研究開発費を使ったかが一目瞭然である場合が多いと思います。

 ところが、中小企業は組織の中で業務の線引きが不明瞭な場合が多く、たとえば営業部署や事業企画部門などが協力して開発を行ったり、あるいは、研究開発の選任担当者はまれで別の仕事も並行して受け持っています。こうなると、会計処理上、人件費や諸経費を含め、どこまでを研究開発として投資した費用なのかの判断がつきにくいのです。

 顧問税理士にもその判断は難しく、あるいは新商品開発の事実すら知らないケースがほとんどのようです。また、仮に会計的に「研究開発費」に計上できた場合でも、税法上は税額控除の対象とならないこともあるので要注意です。

 たとえば、自然科学的な研究開発であれば、調査研究のセミナー参加費は会計上「調査研究費」となると思われますが、税法的に損金計上することは困難です。このほか、一般的な販売方法の改善(新サービスなどを行うための研究)や事務効率化の改善などは含まれないので、注意したいところです。

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宮口貴志
[KaikeiZine編集長]

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長を務める。
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