
宮口貴志
第19回
相続税調査の対象を「AIが選別」いよいよ来年開始か、富裕層でなくてもターゲットになるワケ
国税庁では現在、相続税調査対象選定の迅速化のため人工知能(AI)の導入を急ピッチで進めている。相続税調査で狙われやすいといわれるのは富裕層だが、AIの判定基準はあくまでも数字の信ぴょう性。申告に「ミス」「不正」があれば相手が誰だろうと容赦はない。国が税収拡大に躍起になる昨今、その触手は相続の細部にまで伸びている。

第18回
「年収の壁」見直しでスルーされている、103万円じゃない「もう1つの壁」とは?
国会で審議されていた「年収の壁」問題が、「103万円」から「160万円」への増額で一応の決着を見た。「壁」にも色々あるが、今回は「税金の壁」について考えてみたい。所得税が年収160万円まで非課税になれば、たしかにパート労働者などに節税の恩恵がありそうだ。だが、「壁」が160万円になっても給与から税金は引かれる。なぜか。そこには意外に見逃しがちな、もう一つの壁があるからだ。

第17回
税務署の調査件数が減ったのに追徴税額が増えた「驚きのカラクリ」とは?
所得税の申告漏れによる2023年度の追徴税額が、1398億円と過去最多となった。納税者への訪問を伴う実地調査件数は、新型コロナ禍前と比べてむしろ減少していることを鑑みると、深度ある調査が行われているものと推察される。背景には、国税庁基幹システムへのAI導入による調査対象選定の“効率化”があるといわれ、それに伴って税務当局の調査体制自体も変化しつつあるようだ。

第16回
「豪華な返礼品がお得に手に入る」ふるさと納税の利用者が激増している。果たして“お得感”は、税制上でも得られるのか。同制度はどうしてできたのか。なぜ「寄付」として扱われるのか。つい見過ごしがちな面も振り返りながら、今年もあと1カ月となったふるさと納税を有効に利用するすべを考えてみよう。

第15回
年末調整を会社の年末恒例行事とやり過ごすことなかれ。これは給与所得者にとって貴重な節税対策の一つ「保険料控除」申告の一大チャンスなのである。今回は多くの人が加入する「生命保険料控除」に絞ってその仕組みをひもとき、新旧保険の違い、控除の上限や年末調整に間に合わなかった場合の対処法など、知っておきたい生命保険料控除の知識を簡潔にまとめてお届けする。

第14回
「個人」に対しても税務調査は行われる。富裕層だけでなく会社員など給与所得者でも、所得税還付や副業収入などで一時的に所得が増えれば、対象になることは珍しくはない。厳格な調査が実施される昨今、税務署は調査に際してどのように個人にアプローチしてくるのか。また、調査はどのような形で終結するのか。いざという時のため、税務調査のプロセスを大まかに理解しておこう。

第13回
実家の仏壇にあるかも?相続税対策に使える「意外な仏具」とは【金投資と税】
金の現物の取引価格は過去10年間で大きく上昇した。経済が不安定な時期にも比較的安定した投資商品といわれる金の現物だが、実は税制上の優遇措置も魅力の一つだ。税理士の中には、相続税対策に「純金の仏具」を活用できるという人もいるが、それはどういうことなのか。金投資と税について考えてみよう。

第12回
相続税調査は夏からが本番!? ターゲットになりやすい人とは【国税局出身の税理士が解説】
「相続税調査」といっても、なかなか実感が湧かないかもしれない。だが、あながち他人事でもなく、「忘れた頃にやってくる」ことも多いという。コロナ禍とともに実地調査件数こそ減ったが、2020年度以降の調査には別の傾向が目立つようになった。税務調査は「年間のうち7月から12月が厳しいのはなぜ?」「調査官にはノルマ件数がある?」「どんな人が狙われやすい?」 ――国税局資産税部門出身の税理士の解説を交えながら、そんな疑問への答えや実際の調査の進め方などを紹介する。

第11回
「100万円は覚悟」の歯列矯正、大人にも医療費控除が認められる根拠はあるか?
きれいな歯並びは一生の財産。わが子のことを思い進学や進級の際に子どもの歯列矯正を考える人もいるだろう。しかし、歯列矯正は通常、健康保険適用対象外の自由診療だ。その費用は100万円程度になることも珍しくない。そこで、せめて医療費控除の対象にならないものか、という願いを込めて税法上の扱いを調べてみた。さらに、子どもだけでなく大人の歯列矯正の場合は?インプラントは?

第10回
【実家と税金】贈与税の無申告に「お尋ね」が来た! それでも払い渋るとどうなる? いっそ売却するのが正解か?
所有する不動産を相続の前に子どもに贈与しておきたい、あるいは、判断能力が衰えないうちに老後資金に変えておきたいと考える人も少なからずいる。だが、不動産を贈与すれば相応の税金が課せられるし、売却すれば社会保険にも影響が出る場合もある。生前対策で思いがけず困った状態に陥らないためにも、不動産の所有権移転に関する税の仕組みを確認しておこう。

第9回
【交際費】個人事業主は無制限!? ビジネスパーソンも要注目!「接待費用が認められるための基礎知識」
接待で使ったおカネをいかに経費で落とすか、悩ましい思いをしたことのある人も多いだろう。個人事業主と法人では「交際費」の扱いは全く異なるし、利用できるケースはまれだが、給与所得者が交際費を確定申告できる制度だってある。どうすれば「交際費」が経費として認められるのか。税制の仕組みを整理してみよう。

第8回
「確定申告」直前!在宅副業の光熱費や通信費に接待交際費…アバウトな経費を国税当局が監視!
確定申告の季節である。近年はネット普及もあって、自宅で「副業」を行うビジネスパーソンも増えてきた。副業でも所得税の申告は必要だ。国税当局は副業で発生する経費にも監視の目を光らせている。住居費や光熱費・通信費など、生活と事業の両方に関わる部分はどこまで経費になるのか。副業でも交際費は認められるのか。節税効果が高い申告の方法は?――少々専門的な話になるが、確定申告で戸惑いがちな点を取り上げてみる。

第7回
ネットで稼いでいる人は要注意!税務調査の触手はシェアエコにも!
ネットを介した経済が拡大している。シェアリングエコノミーや暗号資産(仮想通貨)取引といった、個人が稼げる新しい経済取引の仕組みの普及もその理由の一つだ。だが、おカネの動くところに税務署の影あり。新分野で取引を行っている個人に対しても、積極的な税務調査が行われている。国税当局はどんな点に着目しているのか、情報収集の方法は?

第6回
「社長は生前、愛人に数千万円の現金を預けていた。相続財産として申告されていないはずだから調査すればきっと出てくる」。税務署には1年を通じてこんな情報がこっそり寄せられる。内容の信ぴょう性はともかく、実はこうした密告を国税当局は重視している。

第5回
相続が発生した時、被相続人の銀行口座やクレジットカードの整理など、遺族である相続人が行わなければならないことはとても多い。税金についても相続税の申告だけでなく、むしろ多くの人が遭遇するのが「準確定申告」だ。実は、相続税よりもずっと早く税務署に申告しなければならない。申告しないと余分な税金を収めることにもなりかねないので要注意だ。

第4回
2018年以降、非居住地の金融機関に作った口座情報も自国の課税当局に筒抜けになることをご存知だろうか。各国の課税当局は、非居住者が自国の金融機関に開設した口座の情報を収集し、互いに情報の交換を行うという。

第3回
相続税にも調査がある。恐ろしいのは、調査が入れば8割以上の確率で非違(=誤り、違反)が指摘されていることだ。結果として重加算税を賦課されることも多い。課税対象者が増えているだけに、どんなものなのかは知っておきたい。

第2回
「パナマ文書」流出のようなことが起こらない限り、海外に移転された資産の実態はつかみにくいが、「富裕層」の海外保有資産情報の収集に力を入れている日本の課税当局は、「国外財産調書」の他にも、さまざまな“包囲網”を張り巡らせている。

第1回
この連載では、変化する税制の動きをウォッチしながら、上手な資産防衛と承継について考えて行きたい。第1回は、最近とみに課税当局による保有資産への監視が強まっている「富裕層」についてのトピックスを紹介しよう。

第2回
企業の研究開発業務を優遇する税制を利用する中小企業はまだまだ少ない。開発型のIT企業には中小企業が多いため、ぜひ活用法を知っておきたい。
