フランスやイギリスなど欧州主要国による将来的なガソリン車やディーゼル車の販売禁止宣言は、自動車業界では最もホットな話題となっている。これに便乗するかのように、中国政府関係者も将来的なガソリン車の販売禁止をコメントした。なぜ、中国は突然、このような発言をしたのか。(ジャーナリスト 井元康一郎)
“脱・内燃機関”の話題に
中国も参加
フランスのニコラ・ユロ環境相が「内燃機関で走る自動車の販売を2040年に終了させる」と発言したのに端を発し、世界の自動車業界では今、“脱・内燃機関”がホットな話題となっている。
そこに割って入ってきたのが中国だ。政府関係者が「伝統的なガソリン車の販売を終了させるプログラムを我が国も作る」と、EV転換を加速させる旨のコメントを発したのだ。
中国がEVに傾倒する発言を行ったのは、実はこれが初めてではない。2009年には全人代(全国人民代表大会。政策の基本方針を発表する場)で電力利用技術の国産化を大々的にブチ上げ、EVをその中核に据えた。
だが、EVは電力を蓄えるバッテリーのコストがきわめて高かったため、EV価格も高止まりし、政府のかけ声も空しく、ほとんど普及しなかった。業を煮やした政府は、EVの販売に手厚い補助金を出したり、都市圏では高倍率の抽選でしか手に入らないナンバープレートを簡単に入手できるようにしたりといった支援策を打った。それらの策は一時的には効果を示したものの、補助金を減額した途端に販売台数が急落するなど、根本的な普及策にはならなかった。
その中国が脱・内燃機関を大々的にうたった理由について、日系自動車メーカーの関係者は、「今回の中国高官の発言は、欧州で最近急激に高まったEVブームに乗ろうとしたものと思われます」と推測する。