ヒルドイドは、このヘパリン類似物質を主成分としているため、「血行促進」「強い保湿」「抗炎症作用」といった効果があるのだ。こうした作用が、乾燥肌、加齢によるシワなど、女性が気になる肌トラブルにも効果が期待できるとして、口コミでヒルドイドの評判が広がっていった。

 さらに、女性向けの美容雑誌、ネットの美容サイトなどが、「高価な美容液より、ヒルドイドのほうが美肌効果が高い」「何万円も払って高い美容クリームを買わなくても、健康保険が使えるヒルドイドはおトク」などと煽ったことで、皮膚科のクリニックなどに美容目的で処方を求める女性たちが列をなすようになったのだ。

 ヒルドイドには、ソフト軟膏、クリーム、ローション、スプレーの4つの剤形があるが、いずれもヘパリン類似物質が0.3%配合されており、国が決めた薬価は1gあたり23.7円だ。たとえば、ヒルドイドソフト軟膏25gの1本あたりの薬剤料は590円になる。

 ただし、ヒルドイドは医療用医薬品なので、前回の本コラム(「病院の薬は市販薬より安く済む」は本当か)でも紹介したとおり、薬だけ買うことはできない。医師の診察・治療を受け、処方せんを書いてもらったうえで、薬局で調剤してもらうという手順を踏まなければならない。

 皮膚科の診療所をはじめて受診して、ヒルドイドソフト軟膏25g1本を処方、調剤してもらった場合の費用を試算してみよう。

 まず診療所の医療費は、初診料(医療機関にかかるための基本料金)や処方せん料などの合計で3520円。70歳未満で3割負担の人の自己負担額は1060円。薬局では、薬代のほかに調剤基本料、調剤料、薬学管理料といった薬剤師の技術料がかかるので合計1660円。70歳未満の人の自己負担額は500円だ。

 これらを合計すると、ヒルドイドソフト軟膏25gを1本もらうためにかかる自己負担額は1560円ということになる(詳細は次ページの図版参照)。