書きづらい内容を、ニガテな英語で書かなければならない時、悩みに悩んでいつまでも書けない…ということはありませんか? 『思い通りに相手を動かす 英文パワーメール20の鉄則』の著者が、面倒な内容のメールを英語で悩まずに書くテクニックを紹介します!
謝罪、断り、難しい依頼、催促などをメールでするときは、どう書いたらいいか悩むところです。
とくに、海外とのビジネスで英語で書く場合、書き方をあやまると、今後の関係にひびが入ったり、取引がとん挫してしまったり、ときには訴訟沙汰、賠償を求められたりする可能性もあります。
今日は、そんなときに使える、書きづらいことをうまく書く方法を紹介しましょう。
今日の鉄則:書きづらいことをうまく書く方法
まず状況説明。次に「その状況がそうさせた」と書け!
(1)まずは、こちらの状況をていねいに説明します。
(2)そして、相手がある程度、事情を理解したころをみはからって、
「この状況が(私たちに)そうさせた」と書くのです。
たとえば、謝罪では、(1)不都合なことがおきた理由をていねいに説明し、(2)その後に、「このことが私たちに○○させた」と書きます。
難しい依頼の場合も、まず、(1)こちらの状況をていねいに説明し、(2)「この状況が私たちに依頼をさせた」と書きます。
こちらの状況を理解した後であれば、相手は納得しやすく、しかもこの謝罪や依頼は「状況」のせいであって、私たちのせいではない、という雰囲気を作れます。
企業が出す英語のメールやプレスリリースを見ると、このフォーマットで書かれているものが多いことに気づくでしょう。
英語は、無生物(itなど)を主語にした文章がよく使われる言語なので、このような書き方はとても自然です。
主語を人にしないことで、人に責任を負わせない(責任の所在をコトにし、できるだけ狭く限定する)ことができます。
では、実際のケースをみてみましょう。
海外の代理店から、現地で開催される大きな入札で勝つために、商品の卸値を10%値引きしてほしいと言ってきました。日本側としては、入札で勝ってほしいものの、3.5%しか値引きできない状況です。
このようなときは、「今日の鉄則」にしたがって次のように書いていきます。
(1)まず、値引きができない日本の厳しい状況を、具体的に説明する。
(2)そのあとに、「この状況が値引きを難しくさせる」と書く。
ポイントは、しっかり状況説明をすることと、主語を「私たち」ではなく「状況」にすることです。
10%の値引きができないのは、私たちがケチなわけではなく、この状況のせいであるという雰囲気を作ります。
日本語表現にとらわれていると、私たちを主語にして、「(私たちは)値引きすることができません」と書いてしまいがちです。しかし、生き物以外のものを主語にできる英語の特性を利用して、「この状況」を主語にしましょう。
◆残念なメール
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◆今日の鉄則を使って書き直したパワーメール
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「パワーメール」では、最初にポジティブな言葉を使ってよい雰囲気を作って、相手の心を開いてから、こちらの状況を説明しました。そして、相手が値引きは厳しい状況だと感じたところで、3.5%のオファーを出しています。
そして最後に、前向きな言葉をそえて後味をよくして終わっています。
ここまで書けば、相手を説得できる確率はかなり高まるでしょう。
この、書きづらいことを伝える書き方は、拙著『思い通りに相手を動かす 英文パワーメール20の鉄則』で、「鉄則8:不都合なことを書く時は、まず状況説明。次にその状況がそうさせたと書く」として紹介しています。
一文ごとの詳しい解説や、ネイティブによるよりこなれた例文なども紹介していますので、ご覧になってみてください。
今日の鉄則は、謝罪、断り、催促、依頼など多くの場面で活用できます。
フォーマットとして覚えておくと、悩まずにすらすら書けるようになっておすすめです。