転職市場の活況に潜む「入社後に実力不足発覚」の落とし穴人手不足で採用基準のハードルが下がっているようです。その結果、会社の求める水準に追いつけない転職者はいませんか?(写真はイメージです)

人材獲得競争の激化で
採用基準を下げる企業が増加

 雇用環境は人手不足が続いています。厚労省が8月29日に発表した最新の7月の有効求人倍率は1.52倍。これはバブル期に最も高かった1.46倍を上回る高水準になっています。

 さらに、当社のある港区と品川区を管轄するハローワーク品川における7月の有効求人倍率を見ると、なんと6.14倍。千代田区、中央区など東京の中心部を管轄するハローワーク飯田橋も4.21倍。日本のビジネスセンターにおける求人倍率はとりわけ高く、異常値といえる状態になっています。ちなみに、東京都は1.61倍です。

 リーマンショックで人員削減をせざるを得なかった企業を中心に、少し前までは正社員採用に慎重な動きでした。人員削減は会社側にとっても非常に辛い経験だったこともあり、できるだけ契約社員や派遣社員を増やし、正社員採用には抑制的だったのです。

 ところがいち早く正社員の積極採用を始めた企業が業績を伸ばし、これまで抑制的だった企業でも、この状況を見て正社員の積極採用に転じています。

 人をなかなか採用できない状況が強まる中、いわゆる超ブランド企業を除き、多くの企業が採用の間口を広げるようになりました。率直に言えば、従来よりも採用基準のハードルが下がってきているわけです。

 もちろん現在のような人材不足の状況でも、GoogleやAmazonが入社しやすくなったかといえばそんなことはありません。しかしそうした超ブランド企業以外ではなかなか新規採用ができないため、結果的に採用基準のハードルが下がってしまうのです。