ホンダはこの国内生産体制の縮小について慎重な言い回しをしているが、国内主力工場の狭山閉鎖は苦渋の決断ではなかったか。狭山といえばホンダにとって鈴鹿と並んでホンダの象徴的な地でもある。都市対抗野球でも「ホンダ狭山」は出場の常連だ。それでもあえて寄居への集約を経営判断したのだろう。

 ただ、国内自動車市場は今後も少子高齢化の進行などで厳しい予測もあり、工場の生産能力と需要のギャップで稼働率の低下が広がる可能性もある。ホンダに限らず自動車各社は、グローバル化による海外現地生産が進む一方で、日本国内生産における稼働率維持へ生産体制見直しを迫られるケースが波及することにもなりそうだ。

八千代工業の四日市工場は
完全子会社化

 ホンダの八郷社長による国内四輪車生産体制再構築への緊急会見は、先述した通り、50.4%を出資する連結子会社である八千代工業の完成車生産事業の完全子会社化を検討する基本合意書を4日に両社が締結したことからでもあった。

 八千代工業は、ホンダ系の燃料タンクや樹脂関連の部品メーカーだ。その一方でホンダからは軽トラック「アクティ」を中心とした車両生産を受託してきた。とくに四日市工場はホンダ鈴鹿製作所とも近く、一時はホンダの軽自動車生産を一手に引き受けるとも言われたほどである。現在、軽商用車アクティの他、S660や福祉車両・特装車の受託生産を手掛けている。

 ホンダがこの八千代工業の四日市工場を完全子会社化するのは、少量生産専門工場と位置づけて、鈴鹿製作所と連動させることで、より効率的な国内四輪車生産に結びつけることが狙いであろう。

 一方、埼玉製作所の集約については、1964年から稼働している狭山工場の老朽化が進むのに対し、2009年に稼働開始したエンジン生産の小川工場と2013年稼働開始の寄居工場は最新の生産技術を導入している。このため、思い切って狭山工場を寄居工場に集約し、長い歴史を持つ狭山工場を閉鎖することにしたのだ。