16時22分、乗務員が約300人の乗客に対し、屋根に火が燃え移った車両と離れた最後方の車両から避難するようアナウンスし最後尾の車両と先頭車両から、乗客を線路上に降ろしての徒歩による避難誘導を始めたそうだ。

 小田急電鉄の乗務員や現場関係者により、すべての乗客の避難が確認できたのは、最初の緊急停止から約30分後の16時42分。

 乗客は足下の悪い線路を歩いて避難し、けがをした人はいなかったようだが、この火事の影響で、小田急小田原線は新宿と経堂の間の上下線で5時間余りにわたって運転を見合わせ、小田急電鉄によると約7万1000人の乗客に影響が出たそうだ。

沿線火災における消防活動上の注意点

 沿線災害(沿線火災、水害、地震、テロ)が鉄道事業へ与える列車火災、脱線、有毒ガス発生などの2次災害は、平日の通勤時間などに発生すると、場合によっては一度に数百名の死傷者を出す可能性がある。そのため現場関係者への指示は、2次災害の危険想定とすべての乗客の避難誘導までをしっかりとリスクビューイングした内容を伝える必要がある。

■「東京圏における主要区間の混雑率 (国土交通省)
事業者名/線名/区間/時間帯/編成/本数 (両・本) /輸送力 (人) /輸送人員 (人)

■「主要区間の混雑率 (国土交通省)

 たとえば、今回の小田急線火災が発生した「参宮橋~南新宿」区間の架線には、直流1500V、交流電化区間なら在来線でも2万Vという高圧電流が送電されている。

 もし、沿線火災発生時、延焼方向に電車運行上の必要な設備等があり、通電した架線などの近くで消火活動をすることがあれば、現場活動隊員にとって大変危険な活動環境となる。

 今回の小田急線沿線火災の場合、延焼危険大の可能性を考慮し、迅速に電車の送電の停止などについて鉄道側との連絡や確認をとったのかなどの消防対応は公表されていない。万が一、電車を停止させて線路側からの消火活動が通電状態にもかかわらず始まっていたならば、消防隊員だけではなく、避難する乗客にも感電などの2次災害を与えていたかもしれない。

■「警防活動時等における安全管理マニュアル(総務省消防庁)
(※地下鉄火災については60ページを参照)

■「鉄道に関する技術上の基準を定める省令等の解釈基準」のうち
地下鉄道の火災対策に関する解釈基準」の解説(総務省消防庁)