あなたは、もし仕事での移動中に電車が事故などで止まったらどうしますか?復旧するまで「待つのが当たり前」と思いますか?そうして復旧を待つ人がいる一方で、せっかちな気質、責任感が強い人の中には「待てない」「待っていたら約束の時間に遅れてしまう」と、別の手段を探して、時にはタクシーに乗るなど自腹を切ってでも目的地に急ぐ人がいます。

 果たしてこうした場面に遭遇したとき、どちらの判断の方が正しいのでしょうか?今回は地下鉄が止まってアポイントに遅れそうになった2人の営業マンを例に、この問題を考えてみましょう。

「タクシーに乗ろう」VS「遅延証明書をもらおう」

「時間がない、アポイントに遅れてしまうからタクシーに乗ろう」

 そう言い出したのは、営業経験が豊富なGさん(35歳)。営業先への移動中に乗っていた地下鉄が、「○駅先で車両故障が起きた模様。運転再開まで当駅に停車いたします」と社内アナウンスがあった後、動かなくなったのです。

時刻は12時30分。次のアポイントは13時です。

「遅れたらまずい」

 Gさんはとっさにそう思いました。ここから目的地まで4駅。おそらく1000円ちょっと払えばたどり着ける距離です。タクシーに乗れば、アポイントに間に合う可能性は大いにあります(交通事情が悪ければ、無理な場合もありえますが)。そこで、Gさんは当たり前の判断をしたつもりで、隣に座っている同僚のOさん(25歳)に進言しました。するとOさんからは、こんな言葉が返ってきたのです。

「車両事故で地下鉄が止まってしまった旨を先方に伝えて、地下鉄が動き出すのを待ちましょう」

 Gさんは、想定外の回答にびっくり。一瞬、2人の間に微妙な空気が流れました。ちなみに、この2人が同じ目的地に向かっている理由は、Oさんの担当取引先にGさんがついていくことになったから。同僚といっても普段は別々の職場に勤務している間柄で、そんな2人が同じ取引先に向かっているのは『若手営業サポートプロジェクト』というものが社内で始まったためでした。