東京五輪の選手宿舎着工で
払い下げマンション大量供給?
2020年の東京五輪・パラリンピックの選手宿舎の着工が始まった。このため、東京都中央区の2017年1月のマンション着工戸数は前月比20倍以上になった。この施設は大会後、一般住宅として売り出されることになる。
特定のエリアにおける未曾有の民間大量分譲なので、市場に与えるインパクトは史上最大級になる。発表された情報を総合すると、何が起こるかはほぼ見通すことができるようになってきた。誰もが参加できる「払い下げのお買い得マンション」が大量に出てくる可能性が大きい。
この計画は、「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」と呼ばれる。2019年末までに、東京ドーム3個分にほぼ匹敵する約13万3900m2の土地に、選手らの宿泊施設として14~18階建ての21棟を整備。大会後、改修したり、新たに50階建ての超高層マンション2棟を建築・販売し、最大1万2000人が住む街へと生まれ変わる。総着工総数は約5650戸である。
今回着工したのは、分譲マンション2821戸と賃貸マンション1493戸の合計4314戸だ。今後の着工予定は、2024年3月竣工予定の2本のタワーマンションで約1300戸ほどになると思われる。分譲戸数は2821+1300=4100戸ほどだ。賃貸の1500戸弱はサービス付き高齢者向け住宅や若者向けシェアハウス、外国人の利用を想定したサービスアパートメントとバリエーションがある。この街には、住宅以外に商業施設のほか、クリニックモールや保育所など生活に必要な施設も整備される。
売るのに相当時間がかかる?
マンション大量供給は大丈夫か
この数がどれほど多いかというと、晴海がある東京都中央区の最近10年の年平均着工戸数は分譲が2000戸強、賃貸は800戸強だから、今回の着工はそれぞれ年間の2倍ほどになる。最近10年の年間最高戸数が分譲3900戸、賃貸2600戸ほどなので、この1ヵ月でそれ以上の着工が確定したことになる。その意味で、相場価格で売り出したら少なくとも販売期間がまる2年は必要ということになる。
首都圏の新築マンションの供給戸数は、2012年以降、4万5602戸、5万6478戸、4万4913戸、4万0449戸、3万5772戸と減ってきている。今回の分譲戸数4100戸は直近2016年の首都圏供給の11%を占めるが、分譲時期は大きく2回に分かれそうで、最初の2800戸なら約8%になる。これは、直近の都区部の供給の19%が一箇所所で供給されることを意味するので、非常に多いことは疑いようがない。