選手村用地の「不当に安い売却額」
マンション価格はいくらになりそう?

 先日のニュースで、五輪選手村用地を「不当に安く売却」したとして周辺住民らが提訴している。都は16年12月、選手村建設を担う大手不動産11社との間で、中央区晴海の都有地約13ヘクタールを約129億円で売却する契約を結んだ。m2単価は約10万円だ。これに対して、周辺の路線価はm2単価75万円で、最も近い地価調査ポイントは99万円なので、実勢は100万円を超えるだろう。

 訴状によると、原告側は、売却額は周辺地価の1割以下に過ぎず、「異常な安値で売却したことで都は甚大な損害を被った」などと主張しているが、価格が「異常な安値」であることは確かにその通りだ。129億円を5650戸で割ると約230万円で、これが9割引きだとすると、この時点で分譲価格が2000万円以上安いことになる。

 オリンピック選手村は建設費用に加えてリフォーム費用が別途かかる。選手村で使用する間取りからの変更や、パラリンピックのための車いすに対応した浴室・エレベーターの設置など、一般のマンションとして販売するには大幅な改修が必要になるらしい。大会組織委員会が大会後にマンションとして売り出すために必要な改修費を約500億円と試算した。

 この500億円は当初建てられる4100戸にかかるものと想定されるので、戸当たり1200万円もかかる。これは相当に高いが、ここまでお金をかければ通常の新築以上の仕様となるはずで、中古扱いの価格水準にはならないだろう。先ほどの土地価格が格安であるという指摘に対する反論で、東京都が「大会後に建物を改修工事するためマンションとして販売するのに時間がかかることなどを踏まえると、売却価格は適正だ」(都市整備局)としているのもまんざら嘘ではない。

 建築費を一定とすると、戸当たりの土地代(2000万円割安)とリフォーム代(1200万円の追加コスト)は差し引き800万円割安になる。分譲価格を割安にすれば、都心3区の一角である中央区というアドレスから集客は問題なくなる。この物件に自宅として住み、売却すると、値上がり益は無税で購入者の懐に入るのだから、申し込まない手はない。

 計画地近隣のタワーを除く物件の中古時価の相場で言うと、次の2つの物件がベンチマークになる。どちらも新築時分譲価格よりも約25%値上がりしている。