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離婚は今や珍しいものではない。それにもかかわらず、日本の教育現場では、この身近な“家族リスク”についてほとんど語られないままだ。大学で教壇に立つ家族社会学者・山田昌弘氏は、こうしたリスクの“不可視化”こそが、若者たちが現実を正しく理解し判断する機会を奪っていると指摘する。家族の多様性が当たり前になった今、私たちは若い世代に何を伝えるべきなのか。本稿では、その問いの一端を探る。※本稿は、家族社会学者の山田昌弘『単身リスク 「100年人生」をどう生きるか』(朝日新書)の一部を抜粋・編集したものです。
40歳以下の生涯未婚率約25%
離婚件数は3組に1組の計算に
私は学生たちにこう語りかけることがある。
「君らのうち4人に1人は結婚しないし、結婚した3組に1人は離婚するだろう」と。
当然、とても嫌がられる。「なんで山田先生は、そうした暗い話ばかりするのか」と。
だが、これは決して私の主観ではなく、統計に裏づけられた“現実”の話である。
国立社会保障・人口問題研究所の推計(甘めだが)によれば、現在40歳以下の人たちの生涯未婚率は、約25%にのぼる(男性約30%、女性約20%)。さらに2024年には婚姻数約48万5000組に対して、離婚件数は約18万6000組。つまり3組に1組が離婚する計算になる。
若い人は「結婚=ゴール」だと思いがちだが、現実の人生は甘くない。「そして2人は幸せに暮らしましたとさ」と童話のようにはいかないのだ。
では、なぜ私はわざわざこんな“現実”を若者に突きつけるのか。
それは彼らが自らの人生を、しっかりと将来のリスクを認識したうえで、歩んでいってほしいからだ。
私は以前から疑問に思っている。なぜ日本の教育では、こうした「リスク」についてきちんと教えないのだろうかと。







