介護施設の仕事は重労働で、おじいちゃんを持ち上げたり、立ちっぱなしだったり。腰が痛くなってつらくてやめました。

 そんなとき、画家時代の知り合いの男性から、女装するのを手伝ってくれと頼まれたんです。共通の男友達と久々に会うので、「サプライズ」なことをしたいというのが理由でした。

 男性にメイクをするなんて初めてで、全然うまくいかなかったんですよ。でもすごく楽しくて。それまでがつらい仕事で、笑顔のない生活だったので、新鮮な気分にもなりました。

 あの笑いをもう一度味わいたいというのと、とにかく男性にうまくメイクできなかったのが悔しくて、自分なりに研究してやろうと思ったんです。

 Twitterでモデルを募集して、「実験台」として化粧をさせてもらいました。「ビフォーアフター」を写真で撮らせてもらって、Twitterにアップしたこともありましたね。

 でも、やっぱり自己流だと限界があって。例えば、ひげを目立たなくするにはどうするのだろうとか、ニキビでボコボコの肌はどうするんだろうとか。色々と知りたいことがつのって、男性が女性の格好をするパフォーマンス「ドラァグクイーン」向けの特殊メイク講座に出たんです。

 ただ、色々と研究にはお金がかかるんですね。東京まで出かけたり、メイクをするのにカラオケボックスを利用したり。バイト代をつぎ込んでしのいでいたんですが、ついに「研究費」がなくなってしまって。

 そんな時、双子の兄から「ネイルサロンやるから、一緒にメイクサロンでもやらへんか」って誘われて。そろそろお金も稼がないといけないので、趣味と実益を兼ねて、思い切ってビジネスにしたんです。今から1年ぐらい前のことです。

──客の反応はいかがですか?

 少ないときだと月に2、3人。多いときは20人ぐらい。大阪だけでなく、東京や四国からもいらっしゃいます。