日欧でアップル、グーグルなど規制強化
バイデン政権は“容認”に転換?
米巨大IT(情報技術)企業への規制強化の枠組みが欧州や日本で相次いでスタートするなかで、これまで自由貿易原則を掲げ米企業擁護で動いてきた米政府の姿勢に変化が目立ってきた。
規制強化で先行する欧州連合(EU)は、巨大IT企業に自社サービスの優遇を禁じるデジタル市場法(DMA)の全面適用を3月から開始し、独占・寡占阻止の仕掛けを強化した。日本でも、スマートフォンのアプリ市場での新規参入の妨害や自社以外の決済システムを使わせないことなどを禁じる「スマホソフトウェア競争促進法案」を4月26日に閣議決定し、独占や寡占による不公正を封じる新たな枠組み作りが具体化する。
包囲網の実質的な対象は、アルファベット(グーグルの親会社)やアップルなどの米国企業だが、米国のバイデン政権に自国の巨大IT企業を守るような動きは見られない。
それどころかバイデン政権は、こうした動きを容認する一方で、米国産業界の反対を押し切ってデジタル貿易推進に向けた国際的なルール作りからの撤退を進めている。
デジタル貿易だけではなく、かつて各国に市場開放を求める“バイブル”ともいえた米政府の外国貿易障壁報告書も2024年版は大幅にスリム化されている。
米通商政策にどういう変化が起きているのか。