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満を持して投入する新型携帯ゲーム機「PS Vita」
ゼロからのスタートで、業界の閉塞感ごと打ち破りたい
――河野弘・ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン プレジデントに聞く

石島照代 [ジャーナリスト]
【第23回】 2011年10月26日
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河野 とは言うものの、PS Vitaは究極のポータブルエンタテインメント体験の提供を目的としているので、PS Vitaをカジュアルゲームに寄せていくということとは話が違う。私は、どこにPS Vitaの軸を据えるかが大事だと考えています。PS Vitaを通じて、究極のエンタテインメント体験を日本の皆様に届けることに注力していきたいですね。

東は東でもアメリカではなく壁が崩れた東欧へ
これまで全てが「ゼロからのスタート」だった

石島 ところで、河野さんは業界プロパーではなく、1年前、ソニー本社からソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(SCEJ)に転属されていますね。ゲームビジネスの経験が全くないまま、SCEJプレジデントに就任することに不安はありませんでしたか。

河野 辞令は不安よりも驚きの方が大きかったですね、私の経歴はいつも、ゼロからのスタートの連続でしたから。就任直後に、様々なゲーム開発会社さんへ挨拶回りしたときに、ある会社の経営幹部さんにも「えっ、ゲームビジネスの経験ないんですか」って驚かれましたが、そのお気持ちはよくわかります。

 ソニー入社後、配属されたのは国内営業部。秋葉原でルート営業や法人営業をやりつつ、週末になると、店頭でテレビや「ウォークマン」を売るという生活を2年半やっていました。

 1989年、ベルリンの壁が崩れて、その後東西ドイツが統一、旧ソ連をはじめとする共産圏の体制が大きく変わる歴史的事件が起きた。世界が変わりそうになっている。これは東欧でのビジネスチャンスが訪れると、上層部が考えたわけです。

 そこで事件直後の1990年に、「誰か1人東欧に送れ」という話になった。大賀(典雄社長、当時)さんが出した条件は、「理屈っぽくなくて、体力があって若いヤツ」。そうしたら、当時の人事部長が「ちょうどいいのがスタンバイしていますよ」といって私を指名したんです。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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