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満を持して投入する新型携帯ゲーム機「PS Vita」
ゼロからのスタートで、業界の閉塞感ごと打ち破りたい
――河野弘・ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン プレジデントに聞く

石島照代 [ジャーナリスト]
【第23回】 2011年10月26日
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河野 私は当時27歳で、しかも大学の体育会系出身ときている。ずっとプロ野球選手になりたくて小学校から野球しかしていませんでしたから、理屈をこねるような頭もないが体力はある。

 まあ、人事部長からすれば、ちょうどよかったんでしょう。突然「大賀さんが呼んでいるから、お前行ってこい」って言われたわけです。

 理由が全くわからないまま、非常に緊張して社長室にいったら、いきなり「東に行け」と。私には当時渡米する話もあったので、「東ってアメリカの東海岸かなあ」と思って話を聞いていた。そうしたら、「今は歴史の転換期だから」とかいう話も飛び出て、途中で話が噛み合わなくなった。東は東でも東欧だと。

 私は野球が大好きだから渡米する気は満々だったけど、東欧に対するモチベーションはゼロ。だから、1回断ってもめて、でも結局行きました。

会社も社員もない混乱の地で試行錯誤
大賀社長の鶴の一声で事業が始まった

石島 ゲームビジネスの経験がゼロでSCEJプレジデントもすごいと思いますが、いきなり東欧もすごいですね……。

河野 東欧では、フランクフルトを拠点にして、月曜から金曜まで、モスクワ、ワルシャワ、プラハ、ブダペストを中心にぐるぐる回って、市場状況を調査していました。ブカレスト(ルーマニア)、ソフィア(ブルガリア)なども回りました。

 当時は何もないわけですよ。現地にはもちろん会社もないし、社員もいない。そんな中で、東欧でソニーのビジネスオペレーションをどのように構築していくのか、それぞれの国が政治的にも経済的にも、全てにおいて大混乱の時期ですから、誰もこの先どうなるか判らないわけで、本当に大変でしたね。

 しかし、大賀さんはじめソニーのマネジメントに対し、事業計画をプレゼンした際には、大賀さんからは「やれ!」の一言でした。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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