健保連の分析で明らかになった
ヒルドイドの美容目的使用

 病院や診療所が健康保険組合に医療費を請求する際、診療報酬明細書には病名を記載することになっており、「この薬は、この病気やケガにしか使えない」という適応も決まっている。

 本来、ヒルドイドなどのヘパリン類似物質は、アトピー性皮膚炎による強い皮膚の乾燥、凍瘡、手術後のケロイドの治療などに用いられるものだ。ところが、ここ1~2年、目立っているのが「皮脂欠乏症」「皮脂欠乏性湿疹」といった病名でのヒルドイドの処方で、美容目的での利用が疑われるケースが増えていたのだ。

 今回、それが健康保険組合連合会の政策提言で明らかになった。

 健康保険組合連合会(以下、健保連)は、おもに大企業に勤める会社員とその家族のための健康保険組合を取りまとめている組織で、2016年4月1日現在、全国1399組合が加入している。

 冒頭の調査研究は、病院や診療所などが健康保険組合に提出した診療報酬明細書(レセプト)を分析して、エビデンスに基づいて医療費の効率的・効果的な使い方を国に政策提言するもの。今年度の分析課題のひとつがヒルドイドなどの保湿剤の処方の実態調査だった。

 対象期間は、2014年10月~2016年9月。健保連に加入している健康保険組合のレセプトのうち、病院や診療所の入院外医療費と調剤薬局のデータのなかから保湿剤が1種類以上処方されたケースを抽出して分析している。

 その分析によると、ヒルドイドなどのヘパリン類似物質のみの処方による薬剤費の男女比は、男性が約10億円なのに対して、女性は約15億円。女性のほうが男性よりも1.5倍も多い。

 女性が使った薬剤費が男性より優位に高額になっているのは、美容が気になるお年頃の25~54歳だ。この年代が使っているヘパリン類似物質の使用額は、男性が約1.1億円なのに対して、女性は約5.6億円。処方額全体に占める割合は、男性が約11%なのに対して、女性は約37%と高い数値を示している。