先進国の企業経営者は、北京のことは分かっても天津については知らないことが多い。しかし、世界には「自分たちの目に留まっていない都市でも急成長している所がある」という現実を見逃してはいけません。例えば、「東京のGDPは、すでにカナダという国と同じ規模だ」と聞くと、多くの日本人は驚くのではないでしょうか。

──今回の著書では、中国の46都市は全て軽重を付けて挙げられていますが、日本の都市については挙げられていません。

 ちょっと待ってください(手元のスマートフォンを操作する)。

 それは、私たちが米アップルのアップストアで無償提供している「Urban World」というアプリケーションで調べることができます。25年時点の上位200都市のうちでは、札幌、仙台、宇都宮、東京、浜松、名古屋、大阪、岡山、広島、福岡の10都市が入っています。

 このアプリでは、世界2600都市の状況について、今日現在のGDP実測値と25年時点のGDP予測値などを比較できます。

──なぜ、錚々(そうそう)たるグローバル企業をクライアントに持つコンサルティングファームが、無償アプリを公開しているのですか。

 やはり、世界の企業経営者や政策決定者などに、「従来とは全く異なる現実を前にして、私たちは直観力をリセットする必要がある」ことを知ってもらうためです。

 過去の分析などから、常識だと考えていたことでも、「それらの大半が間違っているとしたら、どうするか」という前提に立つ。

 今回の本を英ロンドン、米シリコンバレー、中国の上海に拠点を置く3人のコンサルタントが共同執筆したことも、同じ問題意識からでした。台頭するこれらの地域は、都市という単位で“経済活動とダイナミズムの重心”となっている。大きな歴史のうねりの中で、経済の重心地というものは、移動していくものなのです。