主催者、自工会の出し物に至っては、誰がこんなものを考えたのかと言わざるを得ないものだった。「未来のモビリティを仮想体験してもらう」という趣旨で、ビッグサイト西館に300人収容可能な大型のドームシアターを設置した。

 筆者はデジタルプラネタリウムの番組制作を生業の一つとしている。その経験から、ドーム投影にふさわしいコンテンツを作るには相当な予算が必要なのだが、どういう内容になっているのかと興味津々で観てみた。果たしてそこに投影されたのは、PC-9801時代のCAD線画かと思うような原始的な映像だった。

 おそらく機材をレンタルする時点で予算の大半を使い果たしたのであろうが、人並みの判断力があれば、この映像を見た段階で出品を取りやめるレベルである。おそらく、どこぞの代理店に丸投げ同然の状態だったのであろう。

入場料は値上げしたけど
値段分の価値はない

 スーパースポーツやプレステージクラスのようなドリームカーブランドが出品せず、地元の日本勢、主催者である自工会に至るまで“手抜きのオンパレード”となった東京モーターショー。

 それでも無料、ないし入場料500円くらいで見せるというのであれば、これもありだろう。しかし、この内容で入場料をむしろ値上げし、1800円も取るというのだから、心臓が強いことこのうえない。

 自工会関係者の一人は、「映画も1800円なのだから…」と値段の根拠を言い放ったという。が、映画だってハズレの作品を見たときには「金を返せ」という気分になるものだ。

 2年前の前回、東京モーターショーはその前の回から入場者を9万人も減らし、81万人にとどまった。このときも展示内容が低調な中、マツダが「RX-VISION」という流麗なデザインのロータリースポーツコンセプトを出品して注目を集め、「あれがなければ80万人さえ割っていたと思う」と、当時の自工会会長企業だったホンダ関係者が胸をなでおろしたくらいだった。