今は、たまたま景気がいいので労働力不足であるが、増税により景気が悪化すれば再び失業に悩まされ、失業対策の公共投資が必要になるかもしれない。しかし20年後には、少子高齢化による労働力不足が深刻化し、「多少、景気が悪化しても失業問題は深刻化しない」という経済になっているかもしれない。そうであれば、その時には思い切り増税すればいい。

 もしかすると、労働力不足による賃金上昇でインフレになり、それを防ぐために緊縮財政が用いられるようになるかもしれない。となれば、増税がインフレ対策と財政再建の“一石二鳥”となるかもしれないのである。

財政破綻の噂によって
政府が健全化する可能性

 遠い将来においては、「日本政府が破産する」と多くの投資家が信じて国債を売却し、国債価格が大幅に下落することもあり得よう。そうなれば、政府は高い金利を提示しないと借り換え国債が発行できないので利払い負担が増し、それが一層政府破産の思惑を強め、国債価格が文字通り暴落するかもしれない。しかし、それでも日本政府は破産しない。

 日本政府が破産するとなれば、猛烈なドル買いが発生して1ドルが数百円になる。日本政府は外貨準備として巨額のドルを持っているので、それを高値で売却し、暴落している国債を買い戻せばいい。そうすれば、一気に発行済み国債の多くを買い戻すことができ、暴落の翌日には「無借金」になっている可能性すらある。

 つまり、「日本政府が破産すると皆が信じて国債と円を売れば売るほど、ポジションが改善していく」という不思議な立場に、今の日本政府は立っているのである。外貨建て債務を抱える政府が「破産する」との噂で実際に破産してしまうのとは、正反対なのである。

 このあたりについては、拙ブログに「国債暴落シミュレーション」という下手なシミュレーション小説を載せてあるので、ご笑覧いただければ幸いである(笑)。

(久留米大学商学部教授 塚崎公義)