世の中では毎日、あらゆる会社で「会議」が行なわれています。そして、その多くがムダな時間であることは、皆さんも実感されていることでしょう。なぜこのようなことが起きているのでしょうか?
今回はよくある日本企業の会議を例に、「意思決定のプロセス」の重要性を見ていきましょう。

超重要プロジェクトがはじまった!

 会社でこんな経験をされたことはないでしょうか?

 ある日、社長から経営企画室長に「例の新規事業に今年こそ乗り出すべきか、社内で早急に検討してほしい。我が社の命運がかかっている」という指示がありました。

  業界でも大きな話題となっている注目分野への進出に関する判断ですから、全社横断的にメンバーが集められ特別チームが編成されることになりました。リーダーは経営企画室長である常務、社内からは、技術部門、営業部門、海外部門、法務部門、財務部門など主要部門の精鋭メンバーが呼び集められます。

 初回の会議で経営企画室長は重々しく、プロジェクトの背景や、社長がどれほどこの件を重視しているか、また今後の進め方などを説明し、メンバーからの質問に答えます。数時間後、会議終盤には各部門にそれぞれ課題が出され、1週間後に再度集まって検討することになりました。

 1週間後の第2回会合。技術部門が最新の技術動向についてプレゼンします。続いて法務部門の担当者が特許上の懸案事項について補足、財務部門は資金調達の選択肢について説明し、海外部門が米国の顧客動向について報告します。

 さすが精鋭メンバー!どの調査も質が高く、参加者も真剣に耳を傾け、活発な質問も発せられました。普段知る機会の少ない他部署の仕事について初めて学び、大いに勉強になったと興奮気味の若手メンバーもいます。

 2時間後に会議は終了。手元のメモを見ながら、司会の企画室長が次回までに必要な作業をまとめました。「では次回、海外部門は欧州市場について報告をお願いします。あと、技術部門は耐久性の観点から補足調査を。それと法務部門には米国での係争案件について最新情報を把握しておいてほしい。それから……」と続きます。