公益社団法人日本プロサッカーリーグ(通称Jリーグ)は、二つの主要な大会を主催してきた。一つがリーグ戦で戦われる「Jリーグ」、そしてもう一つがカップ戦の「ルヴァンカップ」だ。2016年のシーズン中、このカップ戦の大会名が変わるという出来事が起きた。1993年のJリーグ創設に先立つ1年前の92年から2016年のシーズン中まで一貫して「ヤマザキナビスコカップ」として知られていた大会は、8月31日、その名前を「ルヴァンカップ」と変えたのだ。
当初、Jリーグはシーズン中の大会名の変更について否定していた。ところが、シーズン中の6月21日になって急遽、名称変更を記者発表し、実行に移した。その舞台裏を探るとともに、ルヴァンカップ(旧ヤマザキナビスコカップ)がサッカー界に与えた大きな影響について、短期集中連載でお伝えする。(サッカーライター 江藤高志)
スポンサーの社長が
前夜祭を突然キャンセル
Jリーグ主催大会の正式名称が、大会開催中に変更になるという異常事態は、その萌芽を徐々に表していた。最初の兆候は前年の2015年10月のことだった。
ヤマザキナビスコカップでは、決勝前日に前夜祭が開かれるのが公式行事となっており、この年は10月30日に開催されていた。ところが、毎年欠かさず出席してきた大会スポンサーであるヤマザキナビスコ(現ヤマザキビスケット)の飯島茂彰社長が、この年に限って急遽キャンセルしたのだ。