
街中でしばしば目にする「ブランド品買取」の文字。この業界で爆発的な成長を遂げている会社がある。創業5年で売上高219億円を達成した「SOU」だ。そしてSOUが運営する中古ブランド品の買取事業が「なんぼや」。並み居るライバルたちを押しのけて、「なんぼや」が急成長できた背景には、差別化戦略と意外なビジネスモデルの転換があった。そして何より、SOUを率いる嵜本晋輔の歩んできた波乱万丈の人生があった。(文/武田鼎)
品川シーズンテラス28F、再開発が進められている品川地区を一望できるオフィスタワーの一室は、異様な熱気に満ちていた。スーツ姿のビジネスマンからカジュアルな服装の女性、そして外国人の男女まで──。一見しただけでは職種も年齢も分からないが、彼らの視線は会議室前方のスクリーンに注がれている。そこには、有名ブランドのジュエリーの写真と品番が映し出されていた。
「3万円から!」
会場に、司会者のハリのある声が響く。間髪入れずに続々と手が上がる。落札までわずか数秒。独特の符牒と手の動きで、ブランド品が次々と競り落とされていく。まるで築地のセリのようなこのオークションこそ、「SOU」の急成長の秘密なのだ。