トヨタの東京モーターショー・プレス発表が外国人副社長だった理由トヨタのプレスカンファレンスの会場の様子 Photo by Kenichi Suzuki

東京モーターショーが11月5日閉幕した。プレスデーでのプレスブリーフィングは、慣例的に各社の社長が行ってきたが、その初日のトップバッターで、トヨタ自動車の発表者として登壇したのは、豊田章男社長ではなく、外国人のディディエ・ルロワ副社長であり、しかも英語の発表だった。これは業界内で「前代未聞で異例のケース」と言われたが、トヨタにはある狙いと「意地」があった。(モータージャーナリスト 鈴木ケンイチ)

本国のショーなのに
豊田章男社長が出なかった理由

 2017年10月25日、東京モーターショーのプレスデー初日の朝8時半からのプレスブリーフィングのトップバッターはトヨタです。ところが、そこで驚くべき光景を目にしました。さっそうと登場したのは社長である豊田章男氏ではなく、副社長のディディエ・ルロワ氏だったのです。

 本国のモーターショーに、社長が出ないとは、どういうことか!?

 前回、2015年の東京モーターショーでは、社長の豊田章男氏だけでなく、メジャーリーガーであるイチロー選手もサプライズで登場して、大いに日本メディアを沸かせたものです。

 ところが、今年はなんと副社長による英語でのスピーチ。これはどういう意味なのでしょうか。

「東京モーターショーをトヨタは軽視しているから」という疑念も浮かびます。もしくは、「日産などによる検査不正問題が何かしら影響されたのか」とも。

 そこで、その日の夕刻にトヨタの広報担当者をつかまえて、その理由をたずねてみました。すると「海外へ、より強くアピールするため。(フランス人の)副社長がスピーチすることは、(日産とスバルの)不正問題が発覚する前から決まっていた」というのです。