11月5日まで東京・有明の東京ビッグサイトで開かれている東京モーターショーでは、各社が電気自動車(EV)シフトを打ち出している。その一方で、ハイブリッド車(HV)や燃料電池車(FCV)などを含めた全方位体制を貫く姿勢を示したメーカーもある。トヨタ自動車とホンダだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)
流線形で漆黒のボディは、まるで黒豹のようだ。その姿をカメラに収めようと、周りを何重にも囲む来場客がシャッターを切る。スポットライトとカメラのフラッシュを浴び、その車は恍惚としているようにさえ見えた。
東京モーターショーの一般公開で初の日曜日を迎えた10月29日。トヨタが世界初公開したコンセプトカー「GR HV SPORTS concept」の周囲には多くの人だかりがあった。GRとは、トヨタが世界ラリー選手権などに参戦するモータースポーツ活動「GAZOO(ガズー)レーシング」の頭文字から名付けられたスポーツカーブランドだ。
電気自動車(EV)シフトが加速するこの時代、他の自動車メーカーならEVタイプのスポーツカーを展示しそうなものだが、GR HV SPORTS conceptは「スポーツカーと環境技術を融合した新たなクルマの楽しさを提案する」狙いの下に開発されたハイブリッド車(HV)だ。
その隣に展示されているのは、これまた漆黒のボディの新型「センチュリー」だ。センチュリーといえば、皇室や政治家、財界トップ御用達として知られるトヨタの最高級車。2018年半ばの発売を前に、20年ぶりにフルモデルチェンジされた3代目となる。このセンチュリーもまたHVだ。