ただしFDAも同じ轍を踏むほど甘くはない。追加情報を求め審査期間を延長して吟味した結果、今年1月に“差し戻し判決”を下したのだ。その内容は新たに二つの臨床試験を実施し、それいかんで再吟味するというもの。8月に試験デザインが決まり、Mannkind社は即、諸々の手続きに着手した。

 なにせ同社は承認待ちのあいだに他社のインスリン製造プラントを買い、40%以上の従業員をリストラして同剤への集約化を進めている。ここで諦めるはずはない。一方、医療関係者の反応は前例があるだけに期待半分といったところ。はたして、糖尿病患者が自己注射から解放される日は来るだろうか。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)