外食チェーンはあの手この手で“胃袋”を奪い合っている。せっかく店でおなかを満たすなら、料理と共にそのビジネスモデルまで味わい尽くしたくはないか。『週刊ダイヤモンド』11月11日号の第1特集「味から儲けの仕組みまで 外食チェーン全格付け」の拡大版として、本誌と別テーマあるいは未掲載箇所をたっぷり盛り込んだ経営者たちのインタビューをお届けする。第4回は讃岐うどんチェーン丸亀製麺を全国に展開するトリドールホールディングスの粟田貴也社長に聞く。(『週刊ダイヤモンド』編集部 大矢博之、山本 輝)
――丸亀製麺のの強みは何ですか。
日本の外食産業は1970年代から90年代にかけて右肩上がりで成長し、ピークアウトしました。店ができることが幸せな時代から、オーバーストアの状態に陥ったのです。ただ、食全体の市場規模は変わっていないはずですので、どこかに顧客が流出しているということになります。強力な競争相手は中食です。
すると、外食の本来の強みは何か。中食に対抗する外食の立ち位置を踏まえれば、わざわざ店まで足を運ぶわけですから、消費者は手作りや出来立ての商品を求めているのです。チェーン展開にあたってスケールメリットを軽視するわけではないのですが、優先すべきは店に来てもらう集客力を持つこと。従って、店に足を運んでもらう動機を、われわれが提案する必要があります。
それが手作りや出来立て、実演。丸亀製麺はいわば工場付きの店舗で、うどんを作る光景を顧客に見てもらうことが基本コンセプトなんです。