なぜ企業の評価額が
100倍にもふくれ上がるのか?

 なぜステップ2で投資家からの企業の評価額が10倍、100倍とつけられるのか疑問に思う人も多いかもしれない。投資家は、事業が形になっていなくても、企業の将来性を評価して、現在のあなたの企業の価格をつけている。

 すなわち、よいメンバーがいる、計画に魅力を感じる、サービスのプロトタイプが優れている、といった断片的な材料から将来性を評価して、そこから逆算して現在の企業の価格つけているということになる。

 例えば、今会社の資本金が100万円だったとしても、将来100億円の売上を毎年生み出し社会的に変革をもたらす会社になるだろうと投資家が考える材料があった場合、あなたの会社の価格は依然として100万円のみだろうか?

 将来のことは不確定なので、100億円や1兆円といった価格をつけることは難しいかもしれない。しかし人によっては、1億円の価格をつけても高くないと思うかもしれない。先行投資というやつだ。この判断が投資家としての腕の見せどころでもある。これが、創業したばかりの企業に価格がつけられる簡単なしくみである。

創業したてのベンチャーに<br />10億円もの値段がつくカラクリ

山口揚平(やまぐち・ようへい)
早稲田大学政治経済学部(小野梓奨学生)・東京大学大学院修士。1999年より大手外資系コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わったあと、独立・起業。企業の実態を可視化するサイト「シェアーズ」を運営し、証券会社や個人投資家に情報を提供する。2010年に同事業を売却したが、のちに再興。クリスピー・クリーム・ドーナツの日本参入、ECプラットフォームの立ち上げ(のちにDeNA社が買収)、宇宙開発事業、電気自動車(EV)事業の創業、投資および資金調達にかかわる。その他、Gift(ギフト:贈与)経済システムの創業・運営、劇団経営、世界遺産都市ホイアンでの8店舗創業(雑貨・レストラン)、海外ビジネス研修プログラム事業、日本漢方茶事業、医療メディア事業、アーティスト支援等、複数の事業、会社を運営するかたわら、執筆、講演活動を行っている。専門は貨幣論、情報化社会論。NHK「ニッポンのジレンマ」論客として出演。テレビ東京「オープニングベル」、TBS「6時のニュース」、日経CNBC放送、財政再建に関する特命委員会 2020年以降の経済財政構想小委員会に出演。慶應義塾高校非常勤講師、横浜市立大学、福井県立大学などで講師をつとめた。著書に、『なぜか日本人が知らなかった新しい株の本』(ランダムハウス講談社)『デューデリジェンスのプロが教える 企業分析力養成講座』(日本実業出版社)『世界を変える会社の創り方』(ブルー・マーリン・パートナーズ)『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか』(アスキー・メディアワークス)『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』(ダイヤモンド社)『10年後世界が壊れても君が生き残るために今身につけるべきこと』(SBクリエイティブ)などがある。