企業の評価額の高さが
資金調達額につながるしくみ

 (2)企業の評価額と(3)資金調達額の関係を詳しく見ていこう。図2はファイナンスのステップを5つに分けたものだ。

創業したてのベンチャーに10億円もの値段がつくカラクリ図2 ファイナンスの5ステップ
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ステップ1 企業の設立
 まず、Xさんが企業を資本金1万円で設立する。Xさんは株式100株中100株を持っている。

ステップ2 企業評価額の設定
 投資家のYさんは、Xさんの事業の成長可能性を評価して、企業の評価額を「100倍」に設定した。その結果、企業の評価額は1万円から100万円と膨らむ。
 このステップ1、2を経て、企業の評価額が変化している。一般的にはできるだけ高いほうが好ましい。

ステップ3 新株発行
 Xさんが50株を新規に発行し、Yさんが取得する。

ステップ4 持ち株比率の変化
 Xさんの持ち株数100は変わらないので、Xさんの持ち株比率は66.7%(≒100/150株)、Yさんの持ち株比率は33.3%(≒50/150株)に変化する。
 ステップ3、4を経て、投資後にXさんの持ち株比率が低下している(希薄化)。希薄化を繰り返しても、株式保有の66.6%、50%、33.3%以上をできるだけ保持できるようにすることが重要である。

ステップ5 株式譲渡による資金の調達
 Yさんは50株を譲渡された対価を支払う。計算は簡単で、企業の評価額×新しい持ち株比率(100万円×33.3%)である。したがって、YさんはXさんの企業に対して33.3万円を支払う。これが、50株の譲渡と引き換えにした資金調達額である。