ニュースな本写真はイメージです Photo:PIXTA

高齢者向けの広告を、「文字を大きくするだけ」で済ませていないだろうか。実はシニア層は、若年層以上に「損したくない」心理が強く、広告にも“安心できる根拠”を求めている。実際、キャッチコピーを変えるだけでクリック数が2.3倍になった事例もある。博報堂の調査から見えてきた、「令和シニア」に刺さる広告設計とは?※本稿は、広告代理店の株式会社博報堂ストラテジックプラニング局、株式会社Hakuhodo DY ONE『THE FRONTLINE GENERATION令和シニア なぜいまZ世代マーケターは60代に「未来」を見るのか?』(宣伝会議)の一部を抜粋・編集したものです。

損をしたくない心理は
60代から一層強くなる

 一般的に、シニア層は、損失を避けたいという「損失回避」の傾向が強いほか、身体・健康への不安からリスクを敬遠しがちであったり、経験上、物事を慎重に捉える傾向があると言われています。

 情報過多な現代において「自分に関係ある情報を効率的に知りたい」「失敗は避けたい」という心理が強く働くのは、こうした特性から見ても自然なことです。

 この特性を踏まえず、若年層向けのデジタル戦略の単純転用や、シニア向けに見えるクリエイティブをそのまま配信するだけでは、認知は取れても購買や定着で取りこぼす――いわゆる「ラストワンマイル」での機会損失が積み重なり(編集部注/最後のツメの甘さで、顧客を取り逃がすこと)、ROI(編集部注/投じた費用に対してどれだけの利益が得られたかを示す指標)を押し下げます。

 要因のひとつは、シニア特有のインサイトに沿った情報設計・信頼形成・行動支援が分断されたまま実装されること。価値観や生活動線に加え、年齢と経験に基づく意思決定・認知の特徴に合わせた設計が、実務上不可欠です。