『アルフレッド・アドラー 一瞬で自分が変わる100の言葉』がダイヤモンド社から発売されたことを記念して、20万部突破の第一弾『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』を特別公開します。アドラーの厳しくもあたたかい言葉に、あなたも勇気づけられてください。

叱ることは、悪い習慣を身につけさせる最高のトレーニング

なぜ子どもは、親に怒られた問題行動を繰り返すのか?

 子供がたまたま鼻に手をやっただけで親が子供を叱ります。「鼻をほじってはいけません」すると子供は必ず次も鼻をほじります。「ダメだって言ったでしょ!」母親がその度に叱ります。すると鼻ほじりは確実に子供の悪い習慣として根付きます。それは子供が勝手に習慣を身につけたのではありません。母親が叱ることを通じて子供に鼻ほじりという習慣を身につけさせたのです。

 叱ることは悪い習慣を身につけさせる最高のトレーニングであり、最も効果的な方法です。子供は親が注目することを繰り返します。子供は親から評価され、ほめられるという正の注目を得られないと、今度は叱られるという負の注目を集めようとします。子供にとって親から無視されることは最も避けたいことです。無視されるくらいなら叱られる方がはるかにましです。ですから、親から叱られると子供は喜ぶのです。そして、叱られるために、鼻ほじりを繰り返します。これは何も親子間に限ったことではありません。

 もしも相手の問題行動をやめさせたいのであれば、問題行動を見つけたとしても注目せず叱らないことです。そして、問題行動をしていない時に、適切な行動の方に注目し、認めるのです。問題行動に着目するのは逆効果です。そうではなく、わずかであったとしても正しく適切な行動に着目する。それが教育者の取るべき正しいスタンスなのです。

なぜ子どもは、親に怒られた問題行動を繰り返すのか?アルフレッド・アドラー Alfred Adler(1870年-1937年)
オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家。フロイト、ユングと並んで現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した1人。個人心理学(アドラー心理学)を創始し、『7つの習慣』のコヴィー博士、カーネギーらに影響を与えた。「自己啓発」の源流である。

※本連載は日曜日以外の毎日更新します。