痛み止めを飲みながら我慢し、3日後に再びクリニックを訪れた。

「痛かったのはあの歯じゃないと思います。あのう…以前、上の歯も治療していただきましたよね。そこが悪いんじゃないでしょうか」

 おずおずと言ってみる。

「うーん、そうですかね。上の歯が痛い感じがするんですか」

「ええ。この前は分らなかったんですが、痛いのはこの歯だと思います」

 きっぱり言い切ると、歯科医師はしぶしぶ詰め物を外し、シュッと空気をかけ、内部に異常がないことを確かめると、グリグリと中を掃除し、穴を塞ぎ、とりあえず治療を終了した。

 そしてやはり、痛みは消えなかった。

 (私、どうなっちゃったのかしら)

 不安を抱えたまま3ヵ月が経過。症状は悪化し、夜中に頻繁に目覚め、痛みを感じる日が続いた。

「つらくて仕方ないんです。なんとかしてください」

 今度は別の歯科クリニックを受診して懇願。高齢の歯科医師は、怪訝な顔をしながらも、数回の受診で、下の奥歯の神経を抜き、上は抜歯してしまった。

 だが、そうまでしても、痛みは消えなかった。歯がないのに、歯が痛いのである。