『アルフレッド・アドラー 一瞬で自分が変わる100の言葉』がダイヤモンド社から発売されたことを記念して、20万部突破の第一弾『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』を特別公開します。アドラーの厳しくもあたたかい言葉に、あなたも勇気づけられてください。

罰を与えるのではない。結末を体験させるのだ。

言うことを聞かない子どもには罰を与えるのではなく◯◯をさせよ

 夕食の時間を18時と定めたにもかかわらず、遊びほうけて遅くなって帰る子供がいます。母親はその度に食事を温め直し、二回も洗い物をしなければなりません。しかし、子供はそんなことなどおかまいなし。平気で遅れてくるのです。そんなとき、多くの母親は子供を叱りつけ、なすすべなく途方に暮れます。しかし、結末を体験させれば、子供は強制しなくても自分の意思で戻ってくるようになるでしょう。

 アドラーの高弟ルドルフ・ドライカースはそんな母親に対して次のようにアドバイスを送っています。「『食事の時間を守らなければ食事は出しません』。このように子供と約束をし、それを守ればいいのです。子供が遅く帰ってきて『お母さん、ご飯は?』と聞いたら、『残念ね。遅れてきたから出せないわ』と答えればいいのです」

 これは先に示した自然の結末とは異なる論理的結末を体験させる、という方法です。これは子供だけでなく、大人に対しても有効な方法でしょう。例えば、納期を守れなければ担当を替わってもらう、など応用が可能でしょう。ただし、この約束が理不尽なほど厳しい場合、相手はこれを約束と思わず「罰である」と思うでしょう。また、結末を体験させるときにクドクドと嫌味を言ってはいけません。それも「罰」になってしまうからです。罰を与えるのではなく、結末を体験させて気づかせる。 それがアドラーの教育なのです。

言うことを聞かない子どもには罰を与えるのではなく◯◯をさせよアルフレッド・アドラー Alfred Adler(1870年-1937年)
オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家。フロイト、ユングと並んで現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した1人。個人心理学(アドラー心理学)を創始し、『7つの習慣』のコヴィー博士、カーネギーらに影響を与えた。「自己啓発」の源流である。

※本連載は日曜日以外の毎日更新します。