20万部突破のロングセラー『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』から一部を特別公開します。アドラーの厳しくもあたたかい言葉に、あなたも勇気づけられてください。(初出:2017年11月11日)
子どもを他の子どもと比較してはいけない
「隣のA君を見なさい! あんなにいい子にしているでしょ! それに比べてあんたはなんてお行儀が悪いの!」
「妹のBちゃんはあんなにおとなしくしているでしょ! あんたはお兄ちゃんなのにお行儀が悪い。Bちゃんを見習いなさい!」
私たち親は子供に何かを教える際に、周囲の子供やきょうだいを例に取り、比較をしがちです。それにより、見本を示すと共に、間違いに気づかせ、懲らしめる効果を狙うのです。
しかし、これがうまくいくことはありません。比較されることにより、子供は自信を失い傷つきます。そして劣等感を肥大化させ、間違った方向で劣等感を補償しようと試みます。多くの場合、それは問題行動となります。つまり、親が子供を比較することにより、問題行動がなくなるのではなく、むしろ問題行動を増やしてしまうことになるのです。そして、この問題は親子間に限ることではありません。先輩と後輩、上司と部下の間においても同じことが起きます。その場合も周囲の人と比較すべきではないのです。
もし正しい例を示したいのであれば、本人の中にある、ほんのわずかでもできていることを見つけ、それに気づかせることが大切です。たとえわずかであったとしても、できていることを示し、それを認め、さらに増やすよう要望するのです。比較をするのなら、過去の相手と現在の相手を比較することです。相手の「自己ベスト更新」をほめるのです。
オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家
フロイト、ユングと並んで現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した1人。個人心理学(アドラー心理学)を創始し、『7つの習慣』のコヴィー博士、カーネギーらに影響を与えた。「自己啓発」の源流である。