写真:代表撮影/ロイター/アフロ

 ブータン国王夫妻が来日し、日本各地を精力的にまわる姿がニュースで流れています。

 いま、あらためてブータンという国が注目されています。

 2011年が日本にとって大きな変化の年であったことが、今まで以上にブータンの考える幸せ哲学に共感するきっかけにもなっていると私は思います。TPPに対してさまざまな議論が沸き起こっているのも、これまでどおりの経済至上主義の論理だけではうまくいかないことが分かって、もっと新しい価値観が必要なのではないかと多くの人が感じているからでしょう。

 ブータンの唱えるGNH(国民総幸福度)とはいったい何か。

 そこから学べるこれからの企業経営のあり方とは何なのでしょうか。

人生において何を大切にしていくか

 さて、次の5つのうち、みなさんは人生の中で何を大切にされていますか?

1.お金
2.名誉・出世
3.仕事
4.家族
5.命

 さてどうでしょう。どれを重要視するかは人によって違うことでしょう。したがってどれを選んでも正解です。それぞれの人生にとって、何を大切にされるかで選べばいい項目です。

 しかし、3.11の東日本大震災以降、大きな価値観の変化が起きていることをみなさん実感されているはずです。それは、「お金や名誉よりも、家族、いのちを大切にしたい」という生き方が主流になり始めてきたということです。必ずしもお金を持ち、出世することだけで人生の勝者ではないと多くの方が感じているのです。